2009年1月28日水曜日

息子の心

西の空に飛ぶ物体を見たとき、息子の心は大宇宙に舞い上がり、完全に解き放たれた。
息子は地球上のちっぽけな存在であることを忘れて、あたかも宇宙を往来する意識生命体であるが如く、何万光年もの距離を自由自在に飛び回った。しかしそのような素晴らしい時間がいつまでも続くものではない。

実際には地球上のちっぽけな存在であることからは逃げることはできない。

誰しも経験することであるが、中学生の季節は至極、不安定だ。身体的な著しい変化に加えて、心の中が大きく様を変えはじめる。そのうえ、心と身体を司る制御系統に支障をきたすことが多々ある。
息子も例外ではない。
日々、葛藤を続けている。学習に対すること、運動に対すること、興味に対すること、異性に対すること、実に様々な事象に思いを馳せ、混沌とした状態で過ごす。これだけ多くの課題を大人と子供が同居したままの心が処理しきれるべくもない。

息子は何も語らない。
何に悩み、何を欲しているのか、私は一切知らない。
ただひとつ、はっきりと判っていることは、息子の心は確実に成長しているということだ。

肥大し、収縮し、何度もそれを繰り返しながら、