中学生になる息子が部活帰りに、ふと空を見上げるとオレンジ色に光る物体が凄まじい『尾』をつけて飛んでいたと言う。
時は夕刻、あたりはかなり暗くなっていた。自転車を降りてしばらく見ていたが、相当な時間にわたって、物体は飛んでいたらしい。
飛行機などが夕方、そのような見え方をすると指摘するが、物体は決して飛行機の形状をしておらず、どちらかというと丸いものだった。隕石だとしても大きすぎる。だとすれば何なんだ。
息子は空を仰ぎ、ちょうど物体をふたたび見上げるような仕草をして考えた。
結局、物体が何だったのかわからなかった。
しかし、物体の正体はどうあれ、空を見上げ物体を見つけた息子の経験には貴重な意味がある。
未知なる発見をして、そのことに感動する。そして、詳細な説明を人々に伝える。
その経験こそが成長の糧になるんだろうなと、真剣に語る息子の眼を眺めながら何となく考えた。