相変わらず、右足の甲がしびれていて、少しも感覚がない。足の甲を上げることすら出来ないでいた。
命の代償に右足をあっちへ置いてきたんだな。
男はそのように納得した。すっかり痩せ細った両の脚を見れば、納得せざるを得なかった。
恐ろしいほどの眼力を携えていた『黄泉の国の顔付き』も、ようやく現世のものへと戻りつつあった。
眠らされている間に閃いた『様々なプランやアイデア』もこの世に持ち帰ってくることができなかった。確かに、あのときはとてつもなく良い考えが次々と溢れ出していたのに、結局、それらも『黄泉の国のもの』だったのか。
今ではまったく思い出すことすらできなかった。
ともかく、男は還ってきた。
男の還りを血を流すような思いで祈っていた妻のもとへと。