エントランスは誰に咎められることもなく、すんなり通ることができし、非常階段の位置も直ぐに把握することができた。ジャージ姿の中学生がふたり、ビジネスビルディングに入ったところで所詮、テナントビルであるため、忙しい大人たちには他社の人間ぐらいにか写らないものなのか。注意を受けるどころか、声ひとつかけられずに、非常階段の重い扉まで辿り着いた。
非常階段は静かなものだった。
自分たちの足音だけが微かに響いていった。
10階
13階
15階
16階
このビル、何階まであるんだっけっ?
腿、袋脛が早くも悲鳴をあげはじめた。
17階
17階1/2
18階
18階1/2
このビル、何階まであるんだっけっ?
脚が重くなり、遂に上がらなくなった。
・・・・・・・・・・ちょっと休もうか。
と、ふたりが同時に言った。